■三河地域の繊維産業のおはなし

<三河帯芯の地元の繊維産業について>

三河帯芯直販店は、愛知県岡崎市に本社がある「帯芯」の販売サイトです。帯芯は帯の芯として中に入れる布のことです。
岡崎市は、昔から繊維に関する産業がとてもさかんな地域なんですよ。
ここでは繊維・布にクローズアップして、地元の繊維産業に関するお話を紹介させてくださいね!





<三河の繊維産業 綿の歴史 その1 >

三河の繊維産業は古い伝統を誇っています。
750年の古代の文献には三河国は上質な絹白糸を貢物として納めていて、高く引き取られていたことが記されています。
799年に三河国幡豆郡に漂着した船により綿の種が持ち込まれ、綿花の栽培と綿織物の技術が伝わりました。それが広がったことが、綿を栽培して布を織る三河木綿が始まったきっかけといわれていますよ。





<三河の繊維産業 綿の歴史 その2>

江戸時代、諸藩は財政の改善に向けて各種産業の奨励策を打ち出しました。これが全国の地場産業が発展するきっかけになりました。
三河地方で発展したもののひとつが繊維産業です。農家の副業として綿の栽培で綿花を採り、糸を紡いで機織りをして自家用以外をお金にしました。
幕府が農民や町人に華美を戒めるために絹織物の着用を禁じ、綿織物を奨励したことも木綿需要の拡大につながりました。三河木綿はこの頃より広く知られる特産品です。





<三河の繊維産業 綿の歴史 その3>

明治時代、この時代も主要産業は繊維です。国内では新政府が樹立し欧米諸国では産業革命が進行していました。
日本に最新の機械設備や技術が導入され、官営の愛知紡績所が岡崎市に設立されたのもこの時代です。
三河でガラ紡がはじまったのは1877年頃。ガラ紡績とは日本オリジナルの紡績技術で防機をまわすとガラガラと音がしたのでガラ紡とよばれました。ガラ紡は手紡の時代にくらべ生産性を高めた画期的な機械でした。





<三河の繊維産業 綿の歴史 その4>

明治以降、ガラ紡が盛んであった岡崎市。この地域は木綿の産地であったので原料が手に入りやすく、乙川、男川、青木川といった大型水車を動かすのに必要な多くの水量をもった河川が多かったこともその理由のひとつです。
市内に官営、民間含めいくつもの工場が設置され隆盛を極めたものの、当時の水車や遺構はほとんど残されていません。





<三河の繊維産業 綿の歴史 その5>

大正時代の終わり頃に、和服から洋服に急激に変わっていったことも綿布の需要拡大の要因です。
太平洋戦争のため一時休止状態になりましたが、戦後は衣料不足の影響もあり綿布は高い値段でとぶように売れたそうです。昭和23年からのこの時代のことを、ガチャンと織れば1万もうかる「ガチャ万景気」といいました。
三河地区はガチャンの街、繊維産業の街として名前が知られるようになりました。





<天然繊維 綿>

馴染み深い三河木綿の「綿」です。綿は古くから用いられていてその歴史は約5000年前からといわれています。
花がさいた後にできるコットンボールがはじけて、中から白い綿繊維があふれでます。それが綿花です。
綿花は世界60ケ国以上で栽培されていてもっとも親しみのある身近な繊維です。肌触りがよく吸水性に富み、熱に強くて丈夫です。





<天然繊維 絹>

明治時代から昭和初期にかけての日本の主要輸出品目は絹でした。
国策により養蚕が盛んに行われ、三河地区にも絹糸の原料である蚕の繭を生産する養蚕業がたくさんあった時代です。
お蚕さんは桑の葉っぱを食べます。1日に4回葉っぱをあげるため、かつては広い桑畑があったそうで、年配の方々はそれを岡崎の懐かしい風景だといわれます。





<天然繊維 麻>

三河地区で明治初頭に麻糸の撚糸機械が作られたことから、ロープ製造の歴史が始まり国内のロープ市場で大きなシェアを誇っています。
麻はとても古い繊維で、特にリネンは人類が用いた最古の繊維です。
植物から繊維を採取する部分により、その種類が分かれます。中央に大きな穴が開いているので、繊維が吸ったりはいたりする力を持っています。通気性がよく清涼感があります。





<歴史小話 紡績とは>

紡績の「紡」は、より合わせること、「績」は引き伸ばすという意味です。
工程としては、原料となる綿、麻、羊毛などの天然繊維から糸をつくること。紡績によってつくられた糸を紡績糸といいます。
日本では江戸時代末期まで、紡績の工程から布の生産までが伝統的な手作業で行われていました。しかし1853年の黒船来航以降、外国との貿易が再開され質の高い織物が輸入されるようになり状況が変化しました。そこで政府が洋式の紡績工場を設立し現在に至ります。
日本の紡績技術は世界トップクラスの水準を誇っています。





<歴史小話 繊維のこと>

繊維は大別すると、科学繊維と天然繊維のカテゴリーに分けることができます。
科学繊維は人工的につくりだしたもので、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維があります。天然繊維は、植物質の綿・麻。動物質の絹・ウール。鉱物質の石綿があります。
絹以外の天然繊維は、より合わせて長い1本の糸にする紡績という工程が必要となります。
紡績といえば、忘れてはならないのが官営愛知紡績所。明治時代の岡崎市にあった日本で最初の綿糸紡績所です。





<歴史小話 官営愛知紡績所>

日本で最初の綿糸紡績所は、現在の岡崎市、愛知県額田郡男川村に明治政府が設立した官営愛知紡績所です。
模範工場はイギリスから輸入した紡績機を導入して、1878年に広島と愛知に建設する予定でしたが、直前で広島紡績所が払い下げられてしまったため、愛知紡績所は唯一の官営紡績所として職工養成や技術伝承の役割を果たしました。
火災により建物の大半を失いましたが、動力であった水車場の一部や水路は今も残っています。