■帯芯のQ&A

Q.「カラー芯」って何ですか?

A.夏帯のような目の粗い帯ですと中の帯芯が透けて見えるので、帯に合わせて色のついた帯芯が求められるようになり、今のように色とりどりのカラー帯芯が作られるようになりました。
中には、帯の色とただ同系色のカラー芯を使うのではなく、帯の色とは異なる色の帯芯をあえて選んで、その組み合わせを楽しむ方もいらっしゃいます。
当社では、30〜40年前からカラー芯を扱うようになりましたが、それ以前から夏の黒共帯(喪服の帯)には黒共用の「黒芯」と呼ばれる黒い帯芯がありました。その名残で「黒芯」は他のカラー芯とは別カテゴリーとして扱っています。


Q.帯芯のカビについて

A.とにかく、仕舞う前にきちんと乾かすことが大切です。
昔は着物は毎日着るものでした。ですから、帯も一回着たら陰干し、大切な帯は定期的に帯芯の交換、傷んでくれば買い替えというのが当たり前でした。そのため、日々の手入れで自然とカビ対策は出来ていました。
ところが、最近では着物を着る機会も減って、一度締めた帯を次に使うのは1年後、2年後ということもありえます。こうなると、上記のような、カビ対策のサイクルから外れてしまうのです。
帯表面は乾いていても、帯芯は湿気を含んでいることも多く、その時の手入れが悪いとカビてしまうこともあります。
帯の表面はカビていないのに、カビ臭いにおいがする場合は、帯芯がカビていることが多いです。こんな時は、すぐに帯芯の交換をおすすめします。
当社の帯芯は、全て防カビ加工を施しています。また、防カビ加工をしたらなるべく早く出荷するようにしています。とはいえ、カビるカビないは結局その後の管理次第です。とにかく、仕舞う前にきちんと乾かすことを徹底して下さい


Q.糸番手についての補足

A.糸番手にまつわるお話の補足です。
前回、糸番手と出来上がる帯芯の厚さについてお伝えしましたので、今回は糸番手にまつわるお話の補足です。
今回は、生地の品質のお話です。同じ大きさの生地を織る時、糸が細ければ細いほど、たくさんの本数の糸が必要になり、出来上がった生地自体はしっかりしたものになります。毛糸のマフラーと、綿の手ぬぐいを想像していただければ分かりやすいかと思います。そのため、糸番手が大きく(糸が細く)なればなるほど、品質が良くなり、それに応じて値段もだいぶ高価になります。材料が同じ綿なのに、帯芯の価格に大きな違いがあるのはそのためです。
以前は、「高いほど良い品だ」とお考えのお客様も多く、帯との相性よりも値段で帯芯を選ばれる方もいらっしゃいましたが、最近はこだわって着物を召される方が増え、帯との相性を考えて帯芯を選ぶ方が多くなってきていると感じます。


Q.糸番手と帯芯の厚さについて教えてください。

A.糸番手とは、糸の太さを表す単位で、「糸の重さ当たりの長さ」を番号で表したものです。
もし糸が2巻あって、それぞれの重さは同じで、糸の太さが違っているとします。
すると、糸の太い方が短く、糸の細い方が長くなりますよね。
糸番手は太さの単位ではなく、重さを基準にした長さの単位です。ここがよく誤解されてしまうところなんですね。
・糸番手が小さい=同じ重さの基準で糸が短い=糸は太くなります。
・糸番手が大きい=同じ重さの基準で糸が長い=糸は細くなります。
帯芯は太い糸で織るほど厚くなります。ですから、糸番手が小さい(糸が太い)方が厚い帯芯ということが言えます。


Q.帯芯のサイズを教えてください。

A.当社の帯芯はすべて同じサイズです。9寸巾で長さが4m75?〜80?となっています。
・袋帯などの二重太鼓の帯の一般的な長さは4m30〜50?。
・名古屋帯の一般的な長さは3m60?〜80?。
・半幅帯の一般的な長さは3m60?〜4m。
ここ数十年の女性の体格の変化に合わせて長めの帯が増えてきています。
それを考慮しても、帯芯を必要とする一般的なほとんどの帯に対応できるサイズになっていますので安心してご注文下さい。


Q.いつも綿芯を使っているのですが、絹芯は使ったことがありません。どんな帯には絹芯を使った方が良いのですか?

A.綿芯に比べ、柔らかくて軽いのが絹芯の特徴です。
高級で柔らかいが張りのある帯には、それに見合った柔らかで高級な絹芯がお似合いでしょう。
ただし、柔らかい帯に対して張りを持たせたいのでしたら、しなやかな綿芯の方が向いていると言えます。
帯芯は、色々な性質・風合いを持つ帯をお客様好みに近づけ、着ごこちを良くするのが役割です。
どうか、お気に入りの帯にピッタリの帯芯を見つけていただける事を願っております。


Q.ドビー織りの帯芯があると聞いたのですが、どのようなものですか?

A.ドビー織りとは、ドビー織機という織機を使う。織り糸で柄を出す、変わり織りの1種です。
柄に光沢が出て素材感・高級感のある生地ができるドビー織りですが、帯芯に関して言えばデザインはあまり関係ありません。
メッシュのように目が粗い生地ですので、軽く、通気性が良いという特徴を持った帯芯です。
ちなみに、通常の帯芯に使われる生地は平織りという織り方で織られています。


Q.長めの帯が作りたいのですが、それに合った帯芯はありますか?

A.一般的な帯芯より2尺(約76cm)ほど長い帯芯もご用意がございます。
以前に比べて日本人の体格が良くなってきたという事なのでしょう。
昔はあまりありませんでしたが、近年は「長い帯芯が欲しい」というご要望を時々いただくようになりました。
そのため、通常一本の長さは4.8mなのですが、一般的な帯芯より2尺(約76cm)ほど長い帯芯もご用意がございます。
気になる方は当店にご連絡ください。


Q.帯芯はなぜ入れるのですか?

A.帯に帯芯を入れる目的は色々とあります。
最大の理由は、帯の縫い代を表に響かせないようにするためや、帯地に張りをもたせるためといった、美しい着こなしのためです。
帯芯はただの薄い布ですが、これを入れると帯の張りが全く変わってきます。
また一つには、湿気対策。汗をかいた時などにはその汗を吸ってくれるなど、帯芯には吸湿効果があります。
湿度の高い日本で着物の文化が培われていく中で生まれたものなのでしょう。
更には、生地の傷みを和らげる効果もあります。締めたりほどいたりを繰り返す、傷みやすい部分でもありますので、その保護の役割を持っています。
物を大切にする日本人らしい発想ですね。